40〜60代のキャリア再構築

「何が不安なのか分からない」状態を言語化するための棚卸しテンプレ

「将来が不安だ」と感じているのに、
具体的に何が不安なのかは説明できない。
40代になると、そんな状態に陥る人は少なくありません。

このとき多くの人は、
「情報が足りない」「何か学ばなければ」と考えがちです。
ですが実際には、問題は知識不足ではなく、頭の中が整理されていないことにあります。

この記事では、答えや結論を出すことはしません。
代わりに、「何が不安なのか分からない」状態を、言葉にできるところまで整理するための棚卸しテンプレを提示します。

行動を急がなくても構いません。
まずは、自分の不安を分類できる状態になること。
それだけで、思考は一段前に進みます。

「何が不安か分からない」は異常ではない

「不安はある。でも、理由を聞かれると答えられない」
この状態は、決して珍しいものではありません。

40代になると、仕事・収入・家族・健康など、
考えるべき要素が一気に増えます。
それぞれは小さな違和感でも、重なった結果、
「なんとなく不安」という形で表に出てくることがあります。

ここで勘違いしやすいのが、
「分からない=考えていない」「自分だけが遅れている」
と結論づけてしまうことです。

実際にはその逆で、
考える材料が増えすぎて、頭の中が整理できていないだけ、
というケースがほとんどです。

不安を言葉にできないのは、能力の問題ではありません。
まだ分類されていない情報が、頭の中に散らばっている状態です。

「今の状態は異常ではない」という一点だけです。
次の章では、その散らばった不安を、
いくつかの箱に分けて整理していきます。

キャリアの不安は大きく3つに分けられる

「不安」という言葉は便利ですが、
そのままでは考えることができません。
理由は単純で、範囲が広すぎるからです。

ここでは細かく分析する必要はありません。
まずは、不安を大きく3つの箱に分けるだけで十分です。

1つ目は、収入に関する不安です。
今の給料がこの先も続くのか、
もし減ったら生活は成り立つのか、
老後まで考えると足りるのか、といったものです。

2つ目は、時間や体力に関する不安です。
今と同じ働き方を、
5年後、10年後も続けられるのか。
残業や通勤、責任の重さが、
少しずつ負担になっていないか。

3つ目は、将来像や選択肢に関する不安です。
このまま今の会社にいてよいのか。
他に選べる道があるのか。
そもそも、何を選びたいのか分からない、
という感覚もここに含まれます。

大切なのは、
どれが正しいか、どれが一番重いか、
を決めることではありません。

「自分の不安は、この箱に入っていそうだ」
と分けられた時点で、
頭の中ではすでに整理が始まっています。

まずは「今、頭に浮かぶこと」を全部出す

不安を箱に分けられたら、
次にやることはとてもシンプルです。
今、頭に浮かんでいることを、
すべて外に出します。

この段階で意識してほしいのは、
「整理しない」「評価しない」という点です。
正しいかどうか、現実的かどうかは、
一切考える必要はありません。

順番も、きれいさも不要です。
思いついた順に、短い言葉で書き出します。
不満、愚痴、不安、違和感が混ざっていても構いません。

例えば、
「今の仕事がいつまで続くか分からない」
「体力が落ちてきた気がする」
「周りが何か始めていて焦る」
といった断片で十分です。

ここで多くの人がやってしまうのが、
「これは大したことじゃない」と消してしまうことです。
ですが、今浮かんだ時点で、
それはあなたにとって無視できない材料です。

この作業の目的は、
答えを出すことではありません。
頭の中にあるものを、
一度すべて可視化することです。

紙でやるか、ChatGPTでやるか

ここまで来たら、
あとは「どの道具を使うか」を決めるだけです。
やること自体は変わりません。

紙でやる場合のメリットは、
考える速度を自然に落とせることです。
書く手が止まるたびに、
自分の頭と向き合う時間が生まれます。

一方で、ChatGPTを使うと、
思考を言葉にする補助をしてくれます。
うまく表現できない不安を、
質問として投げ返してくれる点は便利です。

ただし、ここで注意したいのは、
ChatGPTに「答え」を出させないことです。
使う目的は、考えを整理する補助までに留めます。

紙か、ChatGPTか。
どちらが正しい、という話ではありません。
今の自分が、続けやすい方を選べば十分です。

重要なのは、
道具ではなく、
自分の不安を言葉として外に出したかどうかです。

この段階で「答え」を出そうとしない

ここまで整理を進めると、
「じゃあ、次は何をすればいいのか」
という気持ちが自然に出てきます。

ただ、この段階で答えを出そうとすると、
判断を急ぎすぎてしまうことがあります。
不安の材料が見えただけで、
まだ整理が終わったわけではないからです。

学び直しや副業を調べ始めると、
「これが正解かもしれない」という情報が、
一気に目に入ってきます。
ですが、それは判断材料が揃ってからで十分です。

今は、
「自分は何に不安を感じているのか」
を言葉にできた段階です。
それ以上の結論は、無理に出す必要はありません。

焦りから出した答えは、
あとから修正するコストが高くなります。
この段階で立ち止まれること自体が、
ひとつの判断力です。

まとめ|整理できた時点で、もう一歩進んでいる

「何が不安なのか分からない」状態から、
不安をいくつかの箱に分け、
言葉として外に出せた。

それだけで、
思考は確実に一段前に進んでいます。
行動していなくても、
立ち止まって整理したこと自体が前進です。

次に考えるべきなのは、
「何をするか」ではなく、
「どう考える補助を使うか」です。

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